英 名 ： なし
学 名 ： Prunus lannesiana cv. Alborosea
別 名 ： なし
科 名 ： バラ科
属 名 ： サクラ属
種 類 ： 落葉高木
花 期 ： 春
原産地 ： 日本
撮影場所：東京都大田区南蒲田
サトザクラは、オオシマザクラ（Prunus lannesiana var. speciosa）を基にして開発されたと考えられる園芸品種の総称です。
オオシマザクラにヤマザクラ（Prunus jamasakura），エドヒガン（Prunus pendula f. ascendens），カスミザクラ（Prunus verecunda），マメザクラ（Prunus incisa）などを掛け合わせたものとされています。
サトザクラの歴史は、人々がサクラを庭に植え始めた平安時代からといわれ、このころから品種の育成が行われ、人為的な交配や突然変異、野生のものからの選抜育成などが続けられた結果、200種以上のサトザクラが誕生しました。
人里で開発されたサクラをすべてサトザクラという場合もあり、この場合は更に多くの種類のサクラがサトザクラに分類されます。
サトザクラは往々にして人間の観賞用に改良されてきたため、花弁の数の多いものや、見栄えのするものを選んで作られています。
室町時代には既に知られていた古いサトザクラです。
樹高5〜10mの落葉高木です。
樹皮は暗紫褐色で、横に浅く裂けます。皮目も横に並び、横長になります。
葉は長さ8〜14cm、幅4〜8cmの楕円形で、先は尖り、縁には重鋸歯があり、互生します。葉や葉柄に毛はありません。
葉は初めは赤っぽく、徐々に緑になり、秋には紅葉します。
ソメイヨシノ（Prunus x yedoensis）が終わった4月中旬〜下旬に、直径4〜5cmの大輪八重咲きの花を2〜3個ずつまとめて下向きに咲かせます。
カンザン（Prunus lannesiana cv. Sekiyama）と同じようによく見られる大輪の八重桜です。
花弁は30〜40枚あります。
花色は、咲き始めは淡紅色で、満開になるとほぼ白色に変わります。
盛花期を過ぎると花心が赤味を帯びます。
葉化した2本の雌しべを突き出し、その先端が屈曲します。
八重咲きの植物は、雄しべが花弁に変化したと考えられていますが、本種はいくらか雄しべが残っています。
また、雄しべや雌しべ、そして花弁や萼は、進化の途上で葉から生じたと考えられています。この意味において、本種の葉化した雌しべは、緑色で鋸歯もあり、植物の進化を彷彿とさせます。
果実はできません。
桜湯に使われているのはほとんどがこの八重桜です。
桜湯とは塩漬けにしたサクラの花を入れた湯のことで、お祝いの席でお茶の代わりに飲むものです。日本人はよくお茶を飲みますが、「お茶を濁す」という言葉があるため、おめでたい席では出されません。
和名は、その形が、あたかも普賢菩薩が乗る象の牙に似ているとことに因ります。
イチヨウ（Prunus lannesiana cv. Hisakura）やショウゲツ（Prunus lannesiana cv. Superba）に似ています。
イチヨウは葉化雌しべが1本であること、ショウゲツは高木になること、また、ショウゲツの葉は黄緑色で花より少し遅れて展開するのに対して、本種の葉は最初赤みを帯び、開花と同時に展開します。
日本の国花は、サクラとキク（Chrysanthemum morifolium）ですが、サクラはヤマザクラです。
属名の「Prunus」は、ラテン語の「prunum（スモモ）」が語源です。
種小名の「lannesiana」は、ナポレオンの下で活躍した元帥Jean Lannes（1769-1809）の名前に因みます。
園芸品種名の「Alborosea」は、「バラ色がかった白色の」という意味です。
撮影場所：横浜市神奈川区･
豊顕寺市民の森
撮影場所：鎌倉市･大船ﾌﾗﾜｰｾﾝﾀｰ
撮影場所：鎌倉市･大船ﾌﾗﾜｰｾﾝﾀｰ
撮影場所：鎌倉市･大船ﾌﾗﾜｰｾﾝﾀｰ