スイレン

スイレン

和　名　：　スイレン（睡蓮）
英　名　：　Water lily, Water nymph
学　名　：　Nymphaea cv.（スイレン属の総称）
別　名　：　なし
科　名　：　スイレン科
属　名　：　スイレン属
種　類　：　水生多年草
花　期　：　夏～秋
原産地　：　エジプト（熱帯性）
原産地　：　日本，東アジア，ヨーロッパ（温帯性）

撮影日：2003年06月14日
撮影場所：横浜市中区･本牧市民公園
（温帯スイレン）

スイレン（睡蓮）は、中国名・睡蓮（shuilian）の音読みであり、スイレン属の植物の総称です。

大別して、温帯スイレンと熱帯スイレンがあります。

【共通】

水位が安定している池や沼に生育する水生多年草です。

草丈は水の深さによって異なります。

水底の泥中を横に這う塊茎状となる大きな根茎をもちます。

葉は長い葉柄をもち、楕円形で、基部に深い切込みが1本入り、水面に浮かびます。表面は光沢があり全縁です。

花は根茎より伸びた長い花柄上に単生し、萼片は4～6枚、花弁は多数です。

日中に開花し、午後になると閉じる。これを3日繰り返します。

花には雄しべが20～700本もあり、外側の雄しべは幅広で花弁のようになっています。

よく見られる園芸品種はいくつかの原種を交配・改良したもので、花色は白，ピンク，黄色，オレンジ，青，紫，赤など多彩です。

日本では、スイレンはもっぱら観賞用ですが、中国では地下茎を食用としたり、子どもの慢性脳膜炎という病気の治療に使ったり、植物全体を肥料として使ったりします。

【温帯スイレン】

19世紀ごろからフランスでヨーロッパ原産のアルバ種（Nymphaea alba）を中心に品種改良が始まりました。

さらに大輪系と小輪系（ヒメスイレン）に区別されます。現在ではたくさんの園芸品種が作出されています。

日本に自生するスイレンは、温帯スイレンの小輪系に属するヒツジグサ（Nymphaea tetragona）のみで、池などに生育しているスイレンの多くは園芸品種です。

フランスの画家Claude Monet（1840-1926）が愛したスイレンです。

丸い葉とやさしい色合いの花が水面に浮かびます。

花径は3～20cm、花色は、白，黄色，ピンク，赤などで、青，紫はありません。

花は昼咲き性で、日が高くなるころには閉じます。

花形は熱帯スイレンより豊富です。

【熱帯スイレン】

1850年に発表された「Devonshire」という交配種から品種改良が始まりました。

温帯スイレンと異なり、花茎を水面より上に20～30cm伸ばして大きな花を咲かせます。

花色は温帯スイレンにはない青や紫色があり、多彩で、エキゾチックな雰囲気があります。

花は朝開いて夕方まで咲き続けます。また、昼咲きのほか夜咲き性の種類もあります。

【ハスとの違い】

ハス（Nelumbo nucifera：蓮）と似ていますが、次のような違いがあります。

スイレン ハス

葉・円形で切れ込みがある
・浮葉のみ
・水をはじかない
・斑入りや赤い葉がある・円形で切れ込みがない
・浮葉または立ち葉
・水をはじく
・緑の葉しかない

花・花托がない
・細長く、先端が尖った花弁
・水面近くに咲く・花の中央に雌しべが入っている花托がある
・ふっくらと幅広の花弁
・水面より高い位置に咲く

根 ・わさびのような形の塊根 ・地下茎が肥大し、れんこんになる

食用 ・食用にならない ・全草が食用なる

和名の「睡蓮」は、夕方になると眠る（睡る）ように花を閉じることに由来します。

エジプトでは、ナイル河畔にたくさん咲いているので「ナイルの花嫁」と呼ばれています。

タイ，バングラデシュ，エジプトの国花に指定されています。

属名の「Nymphaea」は、ギリシア神話に登場する水の精「Nymph」に由来します。Nymphaは、英雄Herculesに捨てられ、ナイル川に身を投じて睡蓮になったとされている妖精のことです。

この伝説とは別に、スイレンは水辺に咲くことから、花を摘み取ろうとすると魔物によって水中に引きずり込まれるという伝説がドイツなどヨーロッパ各地にあります。