英 名 ： なし
学 名 ： Tricyrtis macranthopsis
別 名 ： ヤマザトノキフジン（山里の貴婦人）
科 名 ： ユリ科
属 名 ： ホトトギス属
種 類 ： 多年草
花 期 ： 晩夏～秋
原産地 ： 日本
撮影場所：東京都文京区･
東大小石川植物園
日本の固有種で、紀伊半島南端の熊野地方のみに分布します。
茎や葉にはほとんど毛がありません。
茎は弓なりに垂れ下がります。
葉は長さ12～18cmの披針形で、基部の両側に耳片があり、茎が葉の付け根を突き抜け、互生します。
茎頂や葉腋に釣鐘形の黄色い花を咲かせます。
花は艶のある黄色で、花被片の内側に紫褐色の斑点があり、半開きで下を向いて咲きます。
花被片は長さ4cmほどで6枚あり、3枚の外花被片の基部に短い距があります。
雄しべは太い柱の先が6裂して花糸になって開き、先端に楕円形の葯があります。
太い柱の中心部に雌しべが1本あり、柱頭が3深裂し、さらに先が2裂して平開します。
雌しべには透明なたくさんの繊毛があり、その先端が球形になっています。
仲間であるホトトギス（Tricyrtis hirta）とは、花色が異なり、花は下向きであり、雄しべ，雌しべの様子も異なり、同じ仲間とは思えません。
果実は蒴果です。
和名は、紀伊半島に分布するホトトギスの仲間で、高貴な姿を、江戸幕府大奥の職名で優雅な貴夫人（上臈）に喩えたものです。
四国に生育するトサジョウロウホトトギス（Tricyrtis macrantha）に似ていますが、葉がより細く、艶があります。
優雅な花で、古くから茶花として茶人に親しまれてきました。
江戸幕府の命を受けた紀州藩が、1806年～1839年に編纂した紀伊国の地誌である「紀伊続風土記」に「黄杜鵑草（きのほととぎすそう）、那智山中に産する奇品なり」とあるのは本種のこととされています。
環境省のレッドリストでは、絶滅危惧II類（VU）に登録されています。
ホトトギス属の植物は19種が知られていていずれも東アジアに生育しています。
日本には12種が分布していますが、この内の10種は日本だけに生育する日本固有種です。
この分布の様子から、日本はホトトギス属の分化の中心地といえます。
属名の「Tricyrtis」は、ギリシャ語の「treis（3）＋cyrtos（曲）」が語源です。3枚の外花被片のつけ根の部分が袋状の距になっていることに由来します。
種小名の「macranthopsis」は、「大きな花のような」という意味です。
撮影場所：鎌倉市･大船ﾌﾗﾜｰｾﾝﾀｰ
撮影場所：鎌倉市･大船ﾌﾗﾜｰｾﾝﾀｰ
撮影場所：鎌倉市･大船ﾌﾗﾜｰｾﾝﾀｰ
撮影場所：東京都文京区･
東大小石川植物園
撮影場所：東京都文京区･
東大小石川植物園
撮影場所：鎌倉市･大船ﾌﾗﾜｰｾﾝﾀｰ
（トサジョウロウホトトギス）