なぜ油圧を使うんだろう?

●油圧の欠点

 油圧装置には次のような欠点があります。

  1. 油漏れの恐れがあり、漏れると汚い。
  2. 温度変化で油の粘度等の特性が変化して機械の性能に悪影響がある。
  3. 油の中にごみや汚れが入り込むと機械の性能に悪影響がある。
  4. 油は燃えるので危険である。
●油圧の利点

 しかし、このような欠点があっても、次のような多くの利点があることから、 様々な機械で油圧装置が使われているのです。
  1. 小型で出力が大きい。・・・力の拡大原理で、断面積の比を大きくしたり、 圧力を大きくすることで、容易に大きな力を発生できます。
  2. 広範囲で無段変速が容易にできる。・・・歯車を使った変速機は1段,2段といった 段階的な変速になりますが、油圧では無段階にしかも広範囲の変速比を実現できます。
  3. 過負荷の防止が容易にできる。・・・動かす対象物が故障したりすると、油圧装置に 大きな負荷が作用して、場合によっては油圧装置が壊れることがありますが、 圧力を逃がすことで容易に破壊を防ぐことができます。
  4. 設計の自由度が高い。・・・装置を設計する際、配管やホースを使って、装置の配置 が比較的自由にできます。
  5. 遠隔制御ができる。・・・遠く離れていても早く動け,ゆっくり動け,止まれと容易に 命令することができます。
  6. 応答性がいい。・・・動け!と命令したときに瞬時に動くことができます。
  7. 出力を自由に制御できる。・・・力の大きさや、動かす速度、動かす方向を容易に 変えることができます。
●他の装置との比較

 油圧装置を他の装置と比べると概ね次のようになります。

比較項目 油圧 空圧 電気 機械
伝達エネルギ 極めて大 小から中 極小から大 極めて広範囲
応答性 速い 中程度 極めて早い 遅れあり(ガタ等)
設計の自由度 広い 広い 極めて広い 狭い
経済性 比較的廉価 廉価 生産量次第 高価

 最近では伝達エネルギでも応答性でも電気装置の性能が格段に高くなってきましたので、 以前のように油圧の独壇場ではなくなりましたが、極めて大きな伝達エネルギを高速で 動かし、しかも比較的廉価で装置を実現したい場合はまだまだ油圧の出番が沢山あります。 また、発展著しい電気・電子装置と組み合わせた油圧/電気/電子ハイブリッド装置が 油圧の応用範囲を広げています。


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Last Update : 07/02/03
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